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心臓シミュレータによる最適医療

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心臓シュミレータによる最適医療
東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻バイオメカニクス分野
教授 久田俊明、教授 杉浦清了






















   わが国では年間8万人が心臓突然死で亡くなり、その多くが働き盛りの成人である。また重症心不全患者は数万人存在し、その多くは心臓移植しか治療法がなく、従って5年生存率はほぼ0%という状態である。このように未だ決定的な治療法のない心臓病の解決には基礎研究の進歩が不可欠であることはいうまでもないが、そこで発見される分子レベルを中心とした種々の知見が動物実験から臨床試験までの過程を経て実際の臨床に応用される迄には膨大な時間と費用が必要である。しかし近年の計算機ならびに計算科学技術の著しい進歩は分子レベルから臓器レベルに至る膨大な知識を実際に機能する仮想心臓として統合することを現実のものとした。この仮想心臓に対して実験、治験を行うことで臨床応用までの過程を加速し、無駄な時間と費用を削減しながら新しい発想による革新的な医療技術の開発することが可能となるばかりでなく、予測医学という新しい医療分野が開拓される。
   当チームは、長年研究してきた非線形有限要素法および流体構造連成解析技術を基盤に2001年より心臓シミュレータの開発を開始し、細胞電気生理や興奮収縮連関の数理モデルを実際の細胞と同様に配置した心室と心房、更に心臓弁や大動脈からなる全心臓の興奮伝播、収縮・弛緩から血流までを再現することに世界で初めて成功している。また並行して細胞下の微細構造までも再現した有限要素細胞モデルを開発し、これに基づき機能タンパクから血液拍出までをシームレスに接続したマルチスケール心臓シミュレーションが実現可能であることを世界に先駆けて示している。(平成20年度文部科学大臣表彰・科学技術賞)
   本研究では以上の心臓シミュレータUT-Heart を用い、不整脈に対しては個別の患者のデータを統合したモデルによって突然死リスクを予測するとともに個別最適化された治療方針を提示する。一方、心不全に対しては心臓再同期療法の電極の最適化による成績の向上、さらに再生医療の適応の可否の予測とその最適化を検討する。これらにより突然死、心不全死を激減させると共に関連の医療機器開発を推進する。また手術を必要とする患者の心臓モデルに対して術前に仮想手術を行いその結果を評価することで各症例に対する最適な術式の選択を支援し予後の改善を図る。
    なおUT-Heart は、2012年に神戸に完成予定の次世代スパコンのキラーアプリケーションとして超並列化への開発が進められており、我が国のIT産業への貢献も期待されている。

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